READY MIX SESSION異なる現場、共通の想い

コンクリエイターたちの本音

生コンクリートは、製造から現場到着まで「90分以内」という時間制限がある、極めて鮮度が重要な「生き物」です。
私たちは、この地域の道や建物の土台を支えるために、日々変化する現場と向き合っています。
今回は、三重県生コンクリート工業組合の次世代を担う若手経営者5人が集まり、
業界の危機感から未来の展望まで、一切の建前を抜きにして語り合いました

メンバー紹介

  • キーワード我慢

    廣󠄁嶋克哉 氏

    廣嶋建材株式会社 / 伊賀市

    従業員約20名。家業に入って8年目。現場の高齢化に強い危機感を抱きつつ、伊賀の地で次世代へのスイッチを模索する情熱家。

  • キーワード地元密着

    東川将之 氏

    磯山レミコン株式会社 / 鈴鹿市

    「生粋の生コン屋」として鈴鹿を支える代表。従業員19名。ベテランの技をいかに若手に継承し、レベルを落とさず会社を存続させるかに心血を注ぐ。

  • キーワード安心安全を守る

    石川雄一郎 氏

    石川商工株式会社 / 伊勢市・鳥羽市

    伊勢志摩に根ざして20年。生コン事業の3代目。資格取得へのインセンティブを明確化し、若手が誇りを持って「主役」になれる環境を整えている。

  • キーワード仲間

    西 大輔 氏

    丸西産業有限会社 / 多気郡大台町

    宮川上流のプラントを守る取締役。従業員6〜7名の少数精鋭。出荷量や人員の減少という現実を直視し、だからこそとして助け合える組織を目指す。

  • キーワード永続性

    葛山雄一郎 氏

    株式会社フジワラ / 鈴鹿市・員弁郡

    東京での異業種経験を経て家業へ。生コンを「向こう100年、取って代わるものがないインフラ」と定義。需要減の中でも永続する仕組み作りを提唱。

  • SESSION01私たちが抱く危機感の正体

    ——皆さんが挙げたキーワードには、共通して厳しさと覚悟が滲んでいますね。

    廣嶋
    正直に言って、今の状況は「我慢」の連続です。経営陣は30代と若返っていますが、現場を支えるのは60代、70代のベテラン。数年後に彼らが一斉に抜けた時、この会社はどうなるのか?という強い危機感があります。
    西
    出荷量も、働く人の数も、若手の流入も、あらゆるものが少ない。でも、だからこそ組合内で競争相手を超えた「仲間」としての意識が強くなっています。人手が足りない時に車を出し合ったり、助け合える関係が今の僕らの強みです。
    東川
    技術の継承は、まさに待ったなしの状態です。ベテランが抜けた後も会社のレベルを下げないために、どうスイッチしていくか。昔ながらのトップダウンではなく、若い子たちが困らない、迷わない仕組みをどう作るかが今の模索点ですね。
  • SESSION02生コン業界で働く意外なメリット

    ——「3K」のイメージを払拭するような、若手へのアピールポイントはありますか?

    石川
    意外かもしれませんが、生コン業界は「若手がポストに就きやすい」業界です。上が空いている分、資格を取ればすぐに給与が上がり、役職を任せられる。成長を実感できるまでのスピードは、他の業界より速いはずです。
    東川
    女性の活躍も大きな力になっています。特に出荷の手配業務などは、女性のきめ細やかな対応が圧倒的に評価されています。面白いのが現場の反応で、女性ドライバーが運んでいくと、普段は気難しい現場の職人さんもなぜか優しくなるんです(笑)。現場の空気を和らげる効果は絶大ですよ。
    葛山
    「地元限定」というのも大きな魅力でしょう。生コンは長距離輸送ができない地域密着型の商品。だから転勤も、長距離ドライバーのような不規則な生活もありません。地元の実家でゆっくり暮らしながら、地域のインフラを支える生活は、若者にとっても安定した選択肢になると思います。
  • SESSION03AIとDX——アナログな業界の「明日」

    ——デジタル化の可能性はいかがでしょうか?

    葛山
    製造や管理の部分には、AIが入り込む余地がたっぷりあります。例えば、日々の湿度や気温の変化による原材料の配合調整。これを数値化してAIが最適解を出すようになれば、品質管理のレベルは飛躍的に上がります。
    東川
    夢の話かもしれませんが、完全自動運転が実現すれば、工場から現場まで無人で運び、現場に一人担当がいればすべて回る……なんて省人化も理論上は可能ですね。
    西
    一方で、配達の現場は最後は「人の手」です。林道のような険しい道や、日によって状況が変わる工事現場へ自動運転で行くのはまだ難しい。アナログな部分が残っているからこそ、人の技術や判断が価値を持ち続ける業界なんです。
  • EPILOGUE次世代の「コンクリエイター」たちへ

    東川
    生コン業界は、どちらかというと地元密着の中小企業が多く、社内も和気あいあいとしています。自分の得意なこと、才能を活かせる場所は必ずあります。
    廣嶋
    決して一人でやる仕事ではありません。暑い、寒いと言い合いながらも、みんなで一つの現場を乗り越えるチームプレーです。人とのコミュニケーションを大切にし、学ぶ姿勢さえあれば、誰でも活躍できる場所があります。
    葛山
    古い業界だからこそ、新しい視点を持った若い力が必要です。未来ある若き才能を、三重の未来を支えるこの「土台作り」に活かして欲しいと思っています。私たちが生コン業界の魅力をさらに発信して、若者の「働きたい場所」として認識してもらえるように頑張ります。